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LPWA機器のキーデバイス 電池の選定方法
2019.04.02
SigfoxをはじめとするLPWA(Low Power Wide Area)はその名の通り、低消費電力で広域通信を実現する通信方式です。Sigfoxの場合、1日1回の送信で単3形リチウム一次電池1本で10年の稼働が可能と言われています。
しかし電池は、様々な使用環境下で寿命が変わってきます。
では、どのよう点を考慮して電池を選定すればいいでしょうか。
代表的な使い方と注意点を紹介します。
機器の使い方から見た電池の選定
デバイスを設計する際、どのような機能を搭載するかを決定することが第一ですが、顧客にとって電源の利便性をどこに置くかも重要なポイントです。
特にデバイスに電池が収まるスペースを確保できるかどうかは、最初の重要な決定事項です。

- ※1小型IoT機器に使われる電池を対象としています。
- ※230mAを超える電流が必要な場合は、コイン電池は不向きです。円筒形をお薦めします。
各電池の特長

- ※リン酸鉄系リチウムイオン電池の場合
代表的なIoTデバイスと推奨電池
使用条件により、最適電池が異なります。

電池選定のポイント
一般的に電池を選ぶ際、公称容量のみをチェックして、合致するかどうかを判断されることが多いと思われますが、使用環境によってはその容量を十分に発揮できない場合があります。
電池メーカーの立場からは、下記の7つのステップに沿って、最適な電池を決定します。
Step 1. 機能の作動に必要な電流、電圧(最低値)を明確にする。
Step 2. 機能の作動に必要な放電時間を明確にする。
Step 3. 機能の使用対応期間を明確にする。
Step 4. 上記の条件から必要容量を計算する。
Step 5. 算出された電気量以上の容量を持つ電池を選出する。
Step 6. 算出した電池の性能が"Step 1"の放電条件を満たすか確認する。
Step 7. 電池の劣化、セーフティマージンから精査する。
では、リチウム一次電池を例に順に確認していきましょう!
適切な電池選定の方法
(1)Step1~Step4 必要容量の算出
- ポイント
-
電流値、放電時間、使用対応期間から必要容量を計算します。
- ※期待寿命が長期の場合は、待機電流(μAオーダー)も重要です。
-
電流値、放電時間、使用対応期間から必要容量を計算します。
Step1. 機能の作動に必要な電流、電圧(最低値)を明確にする
(例)通信時:15[mA] 、待機時:1[μA]、 最低維持電圧:2[V]
Step2. 機能の作動に必要な放電時間を明確にする
(例)2.5[s]が2[h/]ごと、もしくは連続放電(間欠放電の場合)
Step3. 機能の使用対応期間を明確にする
(例)2年間
Step4. 上記の条件から、必要容量を計算する
15[mA]×2.5[s]÷3600[s/h]=0.0104167[mAh](通信1回あたりの電気量)
1[μA]×(3600-2.5)[s/h]÷3600[s/h]×24[h/日]=0.0239832[mAh](1日あたりの待機電気量)
0.0104167[mAh]×24[h/日]÷2[h]=0.125[mAh/日](1日あたりの通信電気量)
0.125[mAh/日]+0.0239832[mAh/日])×365.25[日/年]×2[年]
=109[mAh](最低必要な電池容量)
(2)Step5~Step6 必要容量を満たす電池の選択
Step 5. 算出された電気量以上の容量を持つ電池を選出する。
Step 6. 算出した電池の性能が"Step 1"の放電条件を満たすか確認する。
- ポイント
- worst条件(寿命末期、最低動作温度、最大パルス放電時)で終止電圧以上を維持するかをチェックします。
- 特に、低温下では十分に性能が発揮できないので、注意が必要です。

- ※数値は保証値ではありません。
(3)Step 7 品質を加味した最適電池の最終決定
Step 7. 電池の劣化、セーフティマージンから精査
- ポイント
- 高温保存時は劣化しやすいため、保存環境の確認が必要です。
- 品質にばらつきがあるようなメーカーの商品は、より大きなセーフティマージンを取る必要があります。また、このような電池は、長期使用の場合、内部抵抗が上昇しやすく早期に使用できなくなる場合があります。
電池を選定する場合には、品質安定性の高いメーカーの製品をお薦めします。
Step1~3を実施いただければ、Panasonicにて最適な電池を選定致します。以下よりお気軽にお問い合わせください。