京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、複数のカメラ映像から匿名化されたIDで人物を追跡・再識別する「ReID(人物再認識)」技術をベースに、人流解析プラットフォームの開発に取り組んでいます。
プライバシー保護を前提とした匿名IDでの追跡技術・人流分析により、労働人口減少下にある製造・物流現場の生産性向上、安全で快適な社会の実現などの社会課題の解決を目指します。
ReIDによる人流解析プラットフォームとは
ReID(Person Re-identification)は、AIを利用してカメラ映像から人物を追跡・再識別する技術です。顔認証などを使った従来の追跡システムとは異なり、匿名性を担保したまま複数カメラをまたいだ移動も一貫性をもって追跡し、移動範囲や滞在時間を正確に把握することが可能です。

KCCSの取り組み
1.メモリ機能による高精度の追跡
人物が物陰に隠れたり、一定時間カメラに映らなくなり、追跡が難しい状況においても、追跡の精度と継続性を高めるために「メモリ機能(記憶・再接続機構)」の導入にも取り組んでいます。
2.既存カメラやIPカメラの活用
既に設置されているカメラの映像活用や、市販の安価なIPカメラをいくつか新規設置するだけでも解析できる仕組みを構築することで、導入ハードルを下げることができます。
3.複数サイト・マルチカメラを統合
施設や店舗ごとの個別インテグレーションではなく、複数サイト・マルチカメラを統合した人物追跡・行動分析をクラウド上で提供するプラットフォームの開発に取り組んでいます。
製造・物流現場の生産性向上と安全で快適な社会の実現を目指す
KCCSは、広範囲な匿名ID追跡と行動分析技術により、製造・物流現場の生産性向上と安全で快適な社会の実現を目指します。
1. デジタルツインと行動データに基づいた現場運営で生産性を向上
工場や物流倉庫において、人とモノの動線データを可視化・分析し、リアル空間における人の動き(ID追跡+行動履歴)を取得します。物理空間をデジタル上に再現する「デジタルツイン」と、行動データに基づいた現場運営を実現し、設備配置の最適化、作業負荷の分散など、生産性向上を支援します。
2. 利用者の安全確保と効率的なサービス提供を両立
商業施設や公共施設におけるリアルタイムなリスク検知、混雑・滞留の予測を支援します。ID追跡技術の適用範囲を社会インフラの運営へと拡張し、利用者の安全確保と効率的なサービス提供を両立します。
利用シーン

工場・物流倉庫
- 作業員が複数の倉庫や階層を移動する際の正確な動線と滞留ポイントを把握し、非効率な経路の特定や安全教育に活用。
- 自動化設備や搬送機と作業者の動線を統合分析することで、「人+ロボット」が協働する領域のボトルネック解消や最適配置を支援。

商業施設・リテール
- 「店舗A→通路→店舗B→飲食フロア」といったクロス店舗移動をID追跡することにより、実際に複数店舗を回った“回遊顧客”と、単に通過した“通り抜け顧客”とを区別することが可能。

交通・公共空間
- 駅構内において改札を出た後の移動ルートを把握し、混雑ポイントや移動のボトルネックを可視化することで案内配置やスタッフ配備の最適化を図り、公共空間のサービス品質向上と安全な移動環境を実現。
機能メリット
1低い導入ハードルと既存資産の活用
既に設置されている監視カメラの映像をそのまま解析に利用できます。また、市販の安価なIPカメラを数台設置するだけでも分析を開始できるため、導入のハードルが低く抑えられ、まずは小規模から試したいといったニーズにも柔軟に対応できます。
2拡張性の高いクラウドプラットフォーム
施設や店舗ごとに個別のシステムを構築するのではなく、複数拠点・カメラをクラウド上で統合管理することで、高度な行動分析機能を手軽に利用できるプラットフォームとして提供します。これにより、導入後の拠点追加やカメラ増設にも柔軟に対応できるスケーラビリティを実現します。
3環境配慮と安定した処理能力
電力消費の大きい高度なAI分析処理は、再生可能エネルギー100%で稼働するKCCSの「ゼロエミッション・データセンター 石狩(ZED石狩)」で実行します。環境負荷を低減すると同時に、大規模な分析処理にも対応できる「安定稼働」と、将来の機能増強にも耐えうる「拡張性」を確保します。

