• ERP・経営管理

日本カノマックス株式会社ERPソリューション

基幹システムをERPへ移行
グローバル化を見据えた経営基盤を構築

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(左から)日本カノマックス 専務執行役員 COO 兼 管理本部長 村上 敏樹 氏
同 経営企画室 情報企画セクション マネージャー補佐 島中 藍子 氏
同 代表取締役会長 兼 CEO 加野 稔 氏
KCCS ソリューション事業部 西日本ソリューションビジネス部責任者 田中 大資
同 ソリューション営業統括部 西日本BS営業課 ERP営業係責任者 洪 錫柱

日本カノマックス株式会社

創業:1934年3月
住所:大阪府吹田市清水2番1号
事業概要:計測ソリューションの開発・製造・販売

気流や水流などの「流れ」と目に見えない「微粒子」を精密に捉える技術を駆使した計測ソリューションの開発・製造・販売を手がける日本カノマックス株式会社(日本カノマックス)。少量多品種生産品や特注品を手がける同社が、生産管理体制の強化を狙って新たに製造業向けグローバルERPパッケージ「Infor SyteLine」を導入した。同社の代表取締役会長 兼 CEOを務める加野 稔氏は「さらなる成長に向けた経営基盤が完成したと考えています」と評する。
このシステムを提案・構築したのが、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)である。

日本カノマックス株式会社
代表取締役会長 兼 CEO
加野 稔 氏

1. 50種以上のサブシステムを駆使した既存の基幹システムが限界に

同社はグループを挙げて「グローバル・ニッチ・リーダー企業集団になる」という目標を掲げている。ニッチかつ専門的な顧客のニーズに応えるために、一般的な製造業に比べて少量多品種生産や特注品を手がける割合が高いことが大きな特徴だ。

出典:日本カノマックス

これを支える生産管理体制には高度な仕組みが必要になる。こうした体制を支えていたのが、製造と販売管理で別々に構築したシステムと、「Microsoft Access」(データベースソフト)や「Microsoft Excel」を用いて構築したサブシステムを組み合わせた基幹システムだ。利用していたサブシステムは、複雑な生産管理に対応するため50種以上にもおよんでいた。この各サブシステムのコード体系が統一されていないため、あるシステムから取得したデータと別のシステムのデータの集計軸が合わないといった問題が発生していたという。

同社の専務執行役員でCOO 兼 管理本部長を務める村上 敏樹氏は、従来の体制を次のように評する。「それぞれのサブシステムは現場の視点で仕事の生産性を上げるために構築してきましたが、業務や部門を横断するような一元的な情報管理ができませんでした。PDCA(計画・実行・検証・改善)サイクルを継続的に回してスパイラルアップしていくことを重視している当社にとって、検証と改善のプロセスが遅れることは極めて重大な課題だと考えていました」。

日本カノマックス株式会社
専務執行役員 COO 兼 管理本部長
村上 敏樹 氏

また、グローバル化への対応も課題として浮上していた。同社は日本とアジア、北米、欧州の4極で均等な売上規模の実現を目指しており、データ分析の際に為替の換算が必要になるケースも多い。しかし、従来のシステムは多通貨・多言語に未対応であったため、多数ある海外販売や海外からの仕入れすべてを円に換算した上で、データを保持する必要があるなど業務改善・拡張の制約となっていた。このほか、従来のシステムでは消費税率の変更に対応できないという課題も抱えていた。
「生産管理や財務管理を含めた経営基盤を刷新すれば、課題を一気に解決できる」。同社を率いる加野氏は、このように考えて新たにERP(統合基幹業務システム)を導入することを決断する。こうして2015年10月に、加野氏をオーナー、村上氏をオーナー補佐としたERP導入プロジェクトがキックオフした。

2. 生産管理機能の豊富さとサポート体制が選定の決め手に

このプロジェクトでは、新システムに対して大きく3つの目標を掲げた。

  • 意思決定・経営判断の迅速化(経営管理基盤作り)
  • グローバル対応(グループ経営への対応)
  • オペレーショナルエクセレンスの追及(強い現場作り)

――の3つだ。さらに、オンプレミス型の既存システムでは非常に負荷が高くなっていた運用費用やセキュリティ対策費用の大幅な削減を狙って、新システムをアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供するクラウド上に構築することも決めていた。クラウドであれば、グローバルに展開する際に同様の環境が容易に構築できることも大きな利点だ。
システム選定に当たっては"生産管理に強いERPパッケージ"を対象とした。KCCSが提案する米インフォア社のInfor SyteLineを含めた3製品が最終候補に残った。
この中からInfor SyteLineを選定した理由は、生産管理機能が最も充実していたことと、現場社員が使い慣れているExcelとの親和性が高かったこと、そしてKCCSのサポート体制を高く評価したためだ。
特に生産管理機能の豊富さは重要な選定要件だった。同社はニッチかつ専門的な市場のニーズに応えるために少量多品種製品や特注品を手がける割合が高く、資材調達・生産・在庫管理などが非常に複雑になるためだ。
マルチ・モード生産機能を備えたInfor SyteLineであれば、少量多品種の生産形態や異なる生産形態を組み合わせた生産計画・管理(ハイブリッド生産)を実現でき、製品・部品の設定が複雑な特注品についても仕様通りに正確に構成して納品できる。さらにAPSエンジンによるリアルタイム納期回答が実装されているため、想定外の発注が発生した場合には、他製品への影響を考慮した上で、すばやく生産スケジュールを変更し、リアルタイムで納期を算出できる。

また、加野氏は新システムの導入に当たって、業務をゼロベースで見直し、できるだけERPパッケージが備えている標準機能に合わせようと考えていた。Infor SyteLineは製造業の専門家が25年以上にわたる経験を凝縮して開発したソリューションで、製造業に必要な業務フローがあらかじめ組み込まれている。加えて多言語・多通貨対応で、複数のグループ企業を単一のシステムで管理できるマルチカンパニー対応機能があり、グローバルで約6,000社の導入実績がある。この点について、加野氏は次のように説明する。
「世界的に大きな実績を持っているERPパッケージであれば、標準機能はベストプラクティスになっているはずです。であれば、それを採用することで当社の業務プロセスがグローバルレベルでのベストプラクティスになるわけです。こうした観点でInfor SyteLineの生産管理機能を評価しました」。
実際、同社ではInfor SyteLineを導入する際にカスタマイズをほとんど行っていない。カスタマイズが必要な場合は、そのプロセス自体が明確に価値を生むことをマネジメント層に説明して承認されなければ実施しないという運用にし、ERPパッケージを導入する際に一般的に行われているフィット&ギャップを行わなかった。
これにはバージョンアップの際にも余剰な改修費用が発生しないという財務的効果も見込まれている。

カスタマイズを行わず、業務を徹底的にInfor SyteLineの標準機能に合わせる一方で、現場の社員が普段使い慣れているExcelで情報の加工・分析ができるように、システムとExcelとの親和性を重視した。
同社を担当したKCCS ソリューション事業部 西日本ソリューションビジネス部責任者の田中 大資は「Infor SyteLineは、ほぼすべての画面からデータをExcelの形式で出力できるとともに、Excelのデータを取り込む機能も備えています。この機能を利用すれば、Excelに慣れている現場の社員が自由自在に情報を加工・分析することが可能になります」と説明する。

ICT事業本部 ソリューション事業部
西日本ソリューションビジネス部責任者
田中 大資

村上氏は、KCCSのサポート体制も選定の大きな要因になったとして次のように語る。
「デモから最終プレゼン時まで、多大な熱意をもって対応していただけました。このことは英語ができるメンバーばかりではない当社が、海外製のシステムを導入するということを決定する上での大きな後押しとなりました。AWSが提供しているクラウドサービスのノウハウやスキルが豊富であることも、KCCSを高く評価したポイントです」。
KCCSは、AWSのプライベートネットワークと社内ネットワークをVPN接続することで利便性と安全性を損なわずにクラウドを利用できる環境を構築した。

新システムは2017年4月から稼働を開始している。ERPのような基幹システムの場合、混乱やトラブルを避けるために旧システムと並行稼働する期間を設けるのが一般的だが、日本カノマックスはコストを削減するために、一気にシステムを切り換える「ビッグバン導入」を決断する。これに対応するためにKCCSでは、綿密な計画を立てた。

この時の様子をKCCS ソリューション営業統括部 西日本BS営業課 ERP営業係責任者の洪 錫柱は次のように振り返る。
「移行作業のリハーサルを6回繰り返す中で、最悪のことが起こった場合を想定して、トラブルになりそうな要因を一つずつ潰していきました」。
こうした作業が功を奏して、システムの切り替えは2017年の3月31日から約2日間で無事に完了した。現場の社員にとっては業務プロセスが急に変わることになるが、同社は本プロジェクトを成功させるため、各部門別に現場業務を理解しているコアメンバーが各リーダーを務める全社一丸となった強固な推進体制を構築していた。

ICT事業本部 ソリューション営業統括部
西日本BS営業課 ERP営業係責任者
洪 錫柱

プロジェクト推進のサポート・事務局を務め、実際の業務でもシステムを利用する経営企画室 情報企画セクション マネージャー補佐の島中 藍子氏は、当時の状況をこう説明する。
「最初は戸惑いもありましたが、KCCSの方と一緒に業務マニュアルや操作マニュアルを事前に作っていたので、それほど混乱することはありませんでした。急に仕事の仕方が変わることは現場にとっては大きな負担ですが、会社の成長のためという目的が全員に浸透していたので、みんなで頑張りました」。

日本カノマックス株式会社 経営企画室
情報企画セクション マネージャー補佐
島中 藍子 氏

3. ERPを駆使してグローバルレベルで継続的に業務を改善

加野氏は新システムの効果や将来展望を次のように語る。
「当初に掲げた目標が実現でき、期待した効果が得られています。特にリアルタイムでデータを取得することができ、誰でも自由にさまざまな分析作業が行えるようになった点を高く評価しています。業務や部門を横断したデータの算出は1週間かかることもありましたが、今はすぐに出てくるようになり、経営層と現場の双方で意思決定のスピードが格段に速くなったことを実感しています。さらに、50以上のサブシステムをすべてInfor SyteLineに統合できたことで情報の一元化が実現できました。これにより複数システムへの入力工数やマスターデータの複数管理など無駄な業務処理を大幅に削減できました。さらなる成長に向けた経営基盤が完成したと考えています」。
加野氏は今後、クラウド上に構築したInfor SyteLineをグローバルで展開することを見据えている。このシステムを駆使することで、グローバルレベルで業務を継続的に改善し、さらなる成長に結びつけたいと考えている。

Infor SyteLine導入前後の比較 イメージ図

取材時期:2018年8月
掲載日:2018年10月4日

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