勝手BYOD・シャドーITを防ぎ、安全・手軽にスマートデバイスを業務活用 「BizWalkers+ Mobile」を自社導入し効果を実証

2014年06月26日

スマートデバイスを安全・手軽に業務で利用したい。このような企業の要望に応えて開発されたのが、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)のリモートアクセスサービス「BizWalkers+ Mobile」だ。
KCCSでは、自ら使い勝手を実証した上でユーザ企業へ最適なサービスを提案する狙いから、社外で仕事をする機会の多い営業部門や通信インフラ構築などのフィールド業務を行うエンジニアリング部門、他所勤務(出向・常駐)などの従業員を皮切りに同サービスを導入。セキュアBYODによる業務効率化や利便性向上に加え、他所勤務者との社内情報の共有にも役立てている。

スマートデバイスの安全対策は禁止ではなく、受容・統制すること

スマートデバイスを業務に活用する企業が増える一方、情報セキュリティに不安がある、システム運用管理に手間がかかる、費用対効果が不明といったさまざまな理由から、スマートデバイスの業務利用は時期尚早と導入を見送る企業もあるようだ。だが、プライベートではスマホやタブレットの利用が当たり前になり、通勤途中の駅のホームや電車内でメールやSNS、ネット検索などを行う人も多く見かける。

「利便性とセキュリティ」のバランスは企業の重要なテーマだが、従業員にとってスマートデバイスの「利便性」と企業が守るべき「セキュリティ」のバランスが崩れると、企業のリスクになることもある。それにより、企業がスマートデバイスの業務利用を認めていなくても、従業員が私物のスマートデバイスを許可なく使い、社内システムにアクセスする「勝手BYOD」や「シャドーIT」の問題が指摘されている。

こうした勝手BYODの問題に対し、企業は私物のスマートデバイス利用を禁止するのでなく、受容した上できちんと統制することが、安全・安心にスマートデバイスを利用するためには重要になってくる。

「お客様の要望を聞いていると、セキュリティ対策に加え、スマートデバイスを手軽に業務で利用できる仕組みが求められていました。そこで、セキュリティと利便性を両立させた新しいリモートアクセスサービスBizWalkers+ Mobileを開発・提供しています」とKCCS コミュニケーションサービス事業部 サービス部 部長の高田 直幸は述べる。

コミュニケーションサービス事業部 サービス部 部長 高田 直幸

KCCSではBizWalkers+ Mobileの提供にあたり、まず自社の社外で仕事をする機会が多い営業部門やエンジニアリング部門、他所勤務などの従業員の一部、約250名で利用を開始。導入効果を実証しながら、利用者の意見をサービス開発に反映する狙いがある。

社内情報の共有など組織の一体感醸成にもスマートデバイスを活用

KCCSでは、これまで外勤の従業員に携帯電話を支給し、社外から社内システムにリモートアクセスしてメールやスケジュールなどを確認できるモバイル環境を整備してきた。そして、スマートデバイスが急速に普及する中、BYOD導入の要望も持ち上がっていた。BYODにより、メールやスケジュール、ワークフローといった各種システムを社外から利用して業務の効率化やワークスタイルの改革を図る企業の事例は少なくない。

こうしたスマートデバイスの使い方に加え、「出向や常駐など他所勤務の従業員を含め、組織の一体感を醸成する手段としてスマートデバイスの手軽さや使いやすさに着目し、業務端末だけでなくBYODでも安全にリモートアクセスできるBizWalkers+ Mobileを使い始めています」と話すのは、KCCS 管理本部 副本部長の花田 英司である。

企業のセキュリティ対策が厳しくなる今日、出向・常駐先のネットワークに持ち込みPCを接続することは難しい。そのため、KCCSの他所勤務者は勤怠管理や出張費精算などの社内システムを利用できず、労務管理上の課題になっていた。BizWalkers+ Mobileを活用することで既存のWeb系社内システムと連携。出向・常駐者は必要な社内システムを利用でき、労務管理部門は情報を把握できるようになる。

また「朝礼」を大切にするKCCSでは、単に業務連絡のみならず、部門の目標に対する売上実績を報告するなどアメーバ経営を実践する場となる。そのため、東京支社の朝礼で話された内容を文書化し、朝礼に参加できない他所勤務者や分室などの拠点に送付し情報共有できる環境を整えている。「BYODとBizWalkers+ Mobileの仕組みを利用し、朝礼などの社内情報をスマホでも見られるようにする。これにより、他所勤務者とスムーズに情報を共有でき、一体感も生まれやすくなります」と花田は期待する。

管理本部 副本部長 花田 英司

移動中のスキマ時間を使ってワークフローやメールをチェック

「BizWalkers+ Mobileはとても便利です。他所勤務者との情報共有以外にも、エンジニアリング部門での課題を解消でき、部のメンバーにも利用を推奨しているところです」と話すのは、KCCSエンジニアリング営業本部 本部長の合澤 禎明だ。

同本部は通信インフラ構築などフィールドでの業務が中心になり、部のメンバーは会社支給の携帯電話を持ち歩いている。お客様や協力会社からExcelで作成した工事の進捗状況などを添付ファイルとして送付されるものの、利用している携帯電話ではメールの添付ファイルを見ることができない。PCだとパソコン紛失に対するリスクが高いこともあり、会社に戻ってからデスクのPCで添付ファイルの内容を確認後、返信するなどの手間がかかっていた。
「BizWalkers+ Mobileの導入後は、社外からスマホでメールや添付ファイルの内容をチェックし、その場で返信できます。また移動中のスキマ時間を使ってワークフローの決裁なども行え、仕事の進め方を変えたり、業務の効率化を図ることができます」と合澤は評価する。

いくら便利でも導入のハードルが高ければ使われないだろう。BizWalkers+ Mobileの第1の特長は、スモールスタートで手軽に導入できることだ。システムはKCCSのデータセンターで運用されるので、企業は初期投資やサーバ管理の労力を減らし、短期間で利用を開始できる。
第2の特長は、BYODなどスマートデバイス活用に必要なセキュリティ機能を提供していることだ。スマートデバイスの画面に情報のみを表示するセキュアブラウザにより、社内の情報資産やデータを残さずにメールの添付ファイルやスケジュールなどを閲覧できる。また、ユーザアカウント(ID、パスワード)とデバイス情報(端末認証)の二要素認証により、未承認の勝手BYODやシャドーITを防止する仕組みだ。

エンジニアリング営業本部 本部長 合澤 禎明

サービスイメージ

KCCSでは現在、メールやスケジュール、ワークフロー、勤怠管理などの社内システムをスマートデバイスで閲覧できるBYOD環境が整っている。「BizWalkers+ Mobileで利用するシステムは企業ニーズに応じてカスタマイズできます。今後、グループウェアなどのクラウドサービスや、ドキュメントの編集が可能なサービスを開発予定です。またワークスタイル変革を支援するBizWalkers+ブランドのサービスを順次開発・提供していく計画です」と高田は今後のサービス展開を説明する。

KCCSがそうであるように、まず、部門単位など少人数で使い始め、効果を見極めながら利用範囲を広げるといった活用法がBYODを成功させる第一歩と言えるだろう。

取材時期: 2014年6月

掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。