【人気記事の再掲載】株式会社ケアサービス介護法人向けアメーバ経営コンサルティング

お客様に尊厳を、従業員に幸せを

※本記事は2017年8月21日に配信した記事を再掲しております。掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

多くの競合がひしめく介護業界で成長を続ける企業がある。東京23区を中心に介護サービスを展開する株式会社ケアサービスだ。

2004年ヘラクレス(現ジャスダック)上場、以来、連続して増収を果たし、2017年3月期決算も堅調な業績である。

居宅介護支援、デイサービス(通所介護)、訪問介護、訪問看護、訪問入浴などの介護事業に加え、映画「おくりびと」で話題になったエンゼルケア(葬儀用湯灌サービス)を柱にビジネス展開。介護ビジネスの垣根を越えて、人生の終焉まで寄り添う「ライフエンディング産業」の担い手を目指す。さらには、中国の上海、北京に子会社を設立し、日本で築き上げた「介護からエンゼルケアまで」の他に類を見ない高品質なサービスの技術輸出も始めている。

介護業界は、市場拡大が見込まれる有望産業と言われるものの、新規参入が後を絶たず、保険制度の見直しというリスクもある。その中でケアサービスが好調を維持し続ける要因は何か?福原社長に経営への思いを語っていただいた。

経営の要諦は「辛抱」

中学2年生の時、私は事業家として身を立てようと決めました。働きに出て10年で独立しよう、そして苦労をかけた母親を少しでも楽にさせてあげたいと思ってやってきました。その中で多くの出会いに恵まれ、縁あって飛び込んだ介護の世界で今日に至っています。

介護業界は、高齢化社会の到来に合わせて市場が急拡大しており、それだけに参入される法人も多く、競争は大変激しいと実感しています。また保険制度の改正リスクもあります。そうした環境下で周囲の方々からは「介護業界にいち早く参入するとは先見の明がありますね」「株式公開を果たす秘訣は何でしょうか?」と質問をいただくことがあります。

しかし、私に先見の明があったということではありませんし、経営者として特殊な手腕があったということではないと思っています。強いて言うなら、私は人様よりも少し「辛抱」をすることができたのかもしれません。

これまでに何度も厳しい状況に置かれてきました。しかし、その度にネバーギブアップの精神でやってきました。すると不思議なもので、人との出会いに助けられ、救いの手を差し伸べていただくことができました。あるいは、辛抱しているうちに競争相手が先に脱落して、結果として生き残ることができました。「辛抱」 して生き残るということが、実は勝ち残ることなのだと思います。

株式会社ケアサービス
代表取締役社長
福原 敏雄 氏

やると決めたらあきらめずにやり続ける。次の手、次の手と考えながら挑戦を続け、苦しい時も辛抱して継続する。とどまることを知らず、常に前を向いてやってきたとも言えます。そうすると運もついてくるもので、そのくり返しが今日までの歩みであったと思います。

そのような思いでやってきましたので、私たちの経営はまだまだだと思っています。これからです。これから素晴らしい経営にしていきたいと願っています。そのために、アメーバ経営を導入して、理念を社員と共有しようと取り組んでいるところです。

母親を思う気持ちから独立 。介護の世界に飛び込む

私は1944年、第二次世界大戦のさなかに生を受けました。父は私が母のお腹の中にいる時に出兵して戦死しましたので、父の姿を目にしたことはありません。

幼い頃の暮らしは楽ではありませんでした。母は姉と私を養うために、ひとり家政婦紹介所に身を寄せて仕送りを続けてくれました。戦後の貧しさの中でも、私たち一家は特に苦しい生活を送ってきました。

そうした境遇の中で、私は子供心に中学校を卒業したら働こう、そして母を呼び寄せてひとつ屋根の下で家族一緒に暮らそうと思うようになりました。中学2年生の時には、どうせならば自分で身を立て、10年間勤めに出たらその後は独立しようと目標を立てました。

そして、その通りにしてきました。自動車修理会社の修理工として働いたのち、私は26歳で独立します。福祉関連で寝たきりのご老人向けの布団乾燥の仕事があること、それも小型トラック1台で独立できるということをたまたま知り、まったく縁のない世界でしたが、福祉業界に飛び込みました。期待に胸を膨らませての挑戦でした。

しかし、はじめはまったくうまくいきませんでした。経験もツテもありませんから、当然といえば当然です。同じ頃に独立した多くの同業者も同じような状況で、何人も廃業していきました。しかし、それでもあきらめなかったことがよかったのだと思います。布団乾燥業者の協同組合が設立され、行政との接点が増えて少しずつ仕事が増えていったのです。国は介護保険をどうするのか真剣に検討しており、この協同組合は高齢化社会に先駆けた団体と見られるようになりました。私は理事長を仰せつかり、行政からの勧めもあり訪問入浴介護にも進出しました。

そして入浴用の車両を持つようになると、そこからのご縁で、お亡くなりになられた方の身体を清めるエンゼルケアをやらないかというお声がけもいただきました。これも取り組みました。

声をかけていただいたらノーではなく、イエスと答えてしまうのです。はじめは訪問入浴介護もエンゼルケアもお断りしていたのですが、後で後悔しないためにもやろうという気持ちで受けました。布団乾燥事業は法人向けに展開した時期もあります。建設会社や警備保障会社の社員の方々は職場で寝泊りされることが多く、寝具が必要ということで一気に拡大した事業です。これは事業の鉱脈のようなものでした。

得られた利益は次の投資に回し、事業ごとに法人を設立しながら、新しい事業へと進んでいきました。その後、布団乾燥の事業は一緒に仕事をしてきた社員に譲り渡し、介護とエンゼルケア事業に特化しました。現在のケアサービスの事業形態を形づくっていったのです。

2004年には皆様のお力添えもあり、株式公開をさせていただきました。そして現在はデイサービスセンターを中心に在宅介護事業において、東京23区内にドミナント展開し、さらには国内に人材関連子会社1社、中国に「介護からエンゼルケア」までの事業を展開する子会社2社を立上げ、グループで1,300名超の従業員が働いてくれています。

社員の幸せを実現したい。その思いでアメーバ経営を導入

このような経営をしてきたのですが、私が前を向いて突き進む性分だけに、一緒に仕事をしてくれた社員の皆さんは大変だったと思います。特に幹部の人たちには苦労をかけ続けてきました。

人を育てるということができていたのかと振り返ると、反省させられます。将来を期待し、会社を託したいと思った人が会社を去っていったこともありますし、なかば裏切るような形で会社を出て行った人もいます。それは残念であり、やるせないことでした。しかし、私自身が自分の思うままに生きてきた人間ですから、その人たちの思いを止めることはできませんでした。

そして、こう思うようになりました。社員の皆さんが会社の中で将来に夢を描いて未来を語り合えるようにしてきたか?組織をマネジメン卜できる仕組みを用意して、みんなが本当に力を発揮できる環境をつくってきたか?リーダーになってもらうための教育をしてきたのか?安心して働けるような処遇を実現してきたのか?

これらは私の反省であり、同時にこれからのケアサービスで実現していくべきことです。ますます厳しくなる介護業界の中でケアサービスが生き残るためにも、1,300人以上の従業員の皆さんを守っていくためにも、私自身の夢にかけても、この思いは果たしていかなければなりません。

そのために、最も尊敬する経営者であり、人生の師と仰ぐ稲盛氏の経営哲学とアメーバ経営をケアサービスに取り入れたのです。

高収益であることが従業員の幸せの源泉

アメーバ経営の導入に際しては、介護業界に適した形、また当社に適した形で展開していくことを重視しています。ポイン卜となるのは人材の育成と組織づくりです。自ら何をすべきかを考えて実行に移していける人材、そうした人が育ち、自ら高い目標を立て、その実行に向けて主体的に動く。さらに、組織的に活動できる仕組みも整備するということです。

この実現に向けて、「ケアサービスフィロソフィ」の策定と教育研修、そして部門別の業績管理を順番に行っています。

まず、はじめに取り組んだのは、「ケアサービスフィロソフィ」の策定です。私は盛和塾の塾生として稲盛氏の哲学を学んできましたが、これをしっかりと社内に根づかせなければならないという思いがありました。京セラのフィロソフィを参考にしながら、私たちの業種にあった形で「ケアサービスフィロソフィ」としてまとめさせていただきました。

ケアサービスの企業理念は、お客様一人ひとりの尊厳に共感したサービスを提供することであり、また全従業員とその家族の幸せを追求することです。この企業理念を実現していくために、行動指針に基づいて従業員が日々の仕事に取り組み、その結果として全員で収益を上げていくことを目指します。

この「ケアサービスフィロソフィ」の冊子をもとに従業員向けの研修を実施しています。企業理念や行動指針を共有することなく、リーダーだけが計画を達成しようとしても、永続的な発展にはつながっていきません。たとえリーダーの個人的な手腕によって一時的に業績を上げることができても、そのリーダーが異動したり、辞めてしまえばそこまでです。そうではなく、全従業員がフィロソフィを学び、互いに協力し合ってお客様にサービスを提供していく姿を目指しています。

そうしてケアサービスの考え方を共有した次に行うのが、部門別の採算管理です。デイサービスセンターであれば、売上、利益を伸ばすために、定員に対して何名のお客様が来所されたかという「稼働率」が重要な指標となります。この指標をリーダーが日々意識して、稼働率を100%に近づけるための活動を行っています。

介護サービスのお客様は高齢ですから、直前のキャンセルは当然つきものです。そしてキャンセルが入れば稼働率は下がります。それを仕方がないことだとは考えず、柔軟に別のお客様にご利用いただけるよう手配をするのです。そうした意識付けを行う中から、年間の稼働率が98%を超えるデイサービスセンターも出てきました。

そのセンターが高い稼働率を実現したきっかけは、「ありがとう」の声掛けでした。所長が率先して1日100回の「ありがとう」の声掛けを行うようにしたのです。これが全スタッフの聞にも広がりました。そして、お客様・職員問わずにお礼の言葉が飛び交うようになり、お客様に喜ばれるようになったのです。

スタッフ同士の関係も良好となり、ドライバー、ヘルパー、看護師、ケアマネジャー、生活相談員などの職種を超えて連携が進むようになりました。「稼働率を高める」という目標に対しても、職種の壁を越えた協力関係ができています。生活相談員がお客様の体調不良を把握すると、即座に介護メニューを組むケアマネジャーとも共有され、お客様からキャンセルが出てもスムーズに代わりのお客様にお声がけできるようになっています。お客様にも納得いただいています。

稼働率が高いと、お客様本位ではないのだろう、会社の都合でやっているだろうと思われることもありますが、もちろん、そんなことはありません。自分たちの都合を押し付ければお客様が離れてしまいます。東京の大田区内だけでもデイサービス事業所は約150ヵ所あります。そんな限られたエリアの中で会社本位の姿勢を取れば、お客様は他所ヘ移っていかれます。

今は、お客様との信頼関係、さらには地域との信頼関係をつくりながら稼働率を高められていると感じています。それができるリーダーが育ってきてくれたことが、ありがたいです。

経営はヒ卜・モノ・カネと言いますが、その中のヒ卜、つまり従業員が育ち、また安心してこの会社にいられると思えることが大事です。ですから、会社は利益を上げなければならないですし、そのための仕組みが必要なのです。このことをアメーバ経営によって果たしていきたいと思います。

私たちの事業展開 。これからの介護のあり方

これからの展開に向けて課題も見えてきています。

介護というのはサービス業です。そして、サービス業というのは、いかにお客様に感動を与えられるかが非常に重要なのです。感動を与えるような動作、言葉遣いができているかどうか。従業員の日常の一つひとつの動きが大切です。こちらについては、まだまだやっていくことが多いと感じています。

そして、最後に求められるのは従業員の人間性です。例えばお客様と接する時の笑顔も、無理につくったものでは信頼は得られません。お客様から見て「素晴らしい青年だな」「いいお嬢さんだな」と思われるような笑顔は、その従業員の持つ人間性から出てくるのです。

私たちの仕事は決して楽ではありません。従業員の中には、泣きながら働く人も大勢います。特にお亡くなりになられた方と向き合うエンゼルケアはそうです。職場というのは人格を磨くところでもあるのです。その人格を磨く場で、私も一緒に手を取りながら、泣きながらお互い頑張ろうと言い続けて励ましています。

これからの介護ビジネスにおいてはお客様から信頼を得て、地域から信頼を得るということがますます必要です。地域の中で、地域の方々から誇っていただけるような会社になるということです。それが私たちの目指す姿です。地域の中に基盤を置いて、厳しい競争の中で、徹底的にその中で戦っていくということです。

介護ビジネスにかける。「介護からエンゼルケアまで」

私の介護事業への思いは、入浴介護を始めた頃の原体験がもとになっています。

1980年代前半のお話になりますが、当時、ある寝たきりのおばあさんのお宅を訪問していました。おばあさんは、おじいさんとの2人暮らしだったのですが、当時は20日に1回ご自宅にお伺いすると、下の世話もできておらず、布団はどうにもならないくらい汚れていたものです。入浴を始めると、おばあさんは手を合わせて「ありがとう、ありがとう」と言い続けます。ところがおじいさんは何もせず、それどころか枕元でウィスキーを飲み始めるのです。その時は、このおじいさんの心境は一体何なのかわかりませんでした。しかし、時聞が経ったある時に、それは、大事な奥さんを何ともしてあげられない悔しさ、申し訳なさの裏返しであると思い至ったのです。このお二人の姿から、人間の尊厳、家族の絆とは何かと考えさせられました。

また、そのような方が亡くなられると、お身体をきれいにすることはなく、そのまま棺に入れられます。身体は汚れたままで臭いも残り、家族との最期の別れが本当にこれでよいのかと感じていました。介護の仕事に携わる者として、この状況に何かをしなければ、自分が年老いた時にきっと後悔すると強く思いました。ならば、この一度手がけた事業を追求しよう、介護と工ンゼルケアを私の生涯の中で何としても一本化しようと決めたのです。それが私の願望となっていきました。

この思いには、私自身の家族というものへの思いもあるのかもしれません。私は父親がいない環境で育ちましたので、長らく父親像というものを持ち合わせていませんでした。それが、50歳を過ぎた辺りから父親に感謝するという思いが出てきたのです。それまでの自分の歩みを振り返り、自分の力量を超えてやってこられたのは、貧しい子供時代、幼年時代に導いた両親であったと思うのです。そしてそこには、一度も会ったことのない父親との絆が確かにあるのだと思います。

私たちがやっている介護事業、そして工ンゼルケアというものは、この家族の絆を深められるものです。この事業にかけていきたい、それを従業員の全員とともにやっていきたい、そしてそのともに働く従業員を幸せにしてあげたい――。それが今の私の思いであり、これからの経営で実現していきたいことです。

ご利用者様に心から楽しんでいただける施設づくり

デイサービスセンター江北は、定員34名のお客様に毎日通っていただけるようにスタッフ全員で協力しています。

定員に対してご利用いただいている割合である稼働率は現在、年間を通じて90%を超えています。全デイサービスセンターの目標として、定員-1名の稼働を掲げておりますが、デイサービスセンター江北でも常にその目標をスタッフ全員で意識しています。そのためにも、お客様満足を求める事が必須です。

お客様に満足していただくためにも、さまざまなイベントを多く実施して参りました。

その結果、お客様との信頼関係を築き上げることができ、臨時での利用希望も多くなり、平均で90%以上の稼働率を維持しております。稼働率98%を達成した月も出てきております。

デイサービスセンター江北
所長
中野 優大 氏

目標達成は所長1人の力だけでは絶対にできません。いかに全スタッフとコミュニケーションを取って、協力していくかが目標達成のカギです。

心から楽しんでいただけるデイサービスセンターを目指し、1人でも多くの方にご利用いただき、ご満足いただけるサービスのご提供に注力して参ります。

2017年08月21日

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