福祥福祉会介護法人向けアメーバ経営コンサルティング

すべての職員の意識改革で全員参加の経営を実現。

社会福祉法人 福祥福祉会は、1998年の設立以来地域に密着した質の高いサービスを提供するために、デイサービスや在宅介護支援、特別養護老人ホーム、介護付有料老人ホームなど、次々に事業を展開。現在、300人以上の職員数を擁する規模にまで成長・発展を続けている。

経営の多角化・急拡大で生まれた新たな経営課題

福祉環境の変化から、事業の多角化、行政からの自立など、経営改革を求められている社会福祉法人。10年間で4施設、20を超える事業の拡大を遂げてきた福祥福祉会は、その意味で先進的な社会福祉法人と言えるだろう。
「福祥福祉会は、社会のニーズや法改正に対応し、比較的短期間で事業を拡大してきました。そのため、スピードと決断が迫られることも多く、トップダウンによる事業の推進が中心となっていきました。それは、現場から見ると透明度の低い経営となり、人材の分散・磨耗により経営を担う人材育成が追いつかなかったことと合わせ、トップと現場の意識や感覚にズレを感じ、現場との一体感はなかなか得られない状況でした。その結果、事業収益は悪化し、職員のモチベーションも下がるという状況に陥っていきました」と福祥福祉会のアメーバ経営推進担当者は語る。
こうした状況を打破するためには「トップダウンの事業推進」「透明度の低い経営」といった旧来の経営モデルから転換する必要があると感じそのきっかけづくりを模索するなかで、「アメーバ経営」に出会った。

「アメーバ経営」は、介護・福祉サービスの経営モデルとしても有効なのか?

アメーバ経営は、組織を小集団(アメーバ)に分け、各アメーバごとに採算を見ていく管理会計の仕組み。京セラが、わずか28名で創業し、3万人を超えるグループに成長・発展している今日まで、一度も赤字を出さずに経営している実績ある経営管理手法。「収入最大」「経費最小」「時間最短」という単純明快な目標を追求する。アメーバ経営の導入にあたっては、プロジェクトをつくり、経営トップである理事長をはじめとする経営層だけでなく、現場からのメンバーも含め、それぞれの考え方を話し合いながら進めた。
「アメーバ経営の導入を決めたものの、もともと製造業中心の経営モデルであるアメーバ経営の考え方に対して、現場には大きな反発がありました。"介護保険という収入を軸にした制度ビジネスだから仕方がない""導入しても効果がない"という先入観にとらわれている大多数の職員に対して、発想の転換を示していきました」(担当者)

こうした考え方を示していくことで、福祉サービスでも経営の視点が必要であることを理解してもらっていった。さらに、"リーダーのあり方に関する認識を根底から変える"ことも重要だったという。
「これまで、良いリーダーとは、現場スタッフと一緒に介護をする"ベテランプレイヤー"という考え方がありました。しかし、アメーバ経営で求められるリーダーは、可能な限り自分をフリーにして、グループの目標達成を実現する手段を考え、現場の運営が円滑にいく気配りをし、トップとともに経営を考える"マネージャ"。こうした役割のあり方を変えていくためには、リーダー自らが"気づく"ことが大切です。そのためには、さまざまな仕掛けが必要となります。会議を行ったり勉強会を開催するなどして、変化への"気づき"につながる環境と情報を提供すること。行き詰ったリーダーには『どこが悪いか』のヒントを与えること。こうした働きかけによって、"気づき"へと我慢強く誘導し続ける必要がありました」(担当者)

「アメーバ経営」の導入によりトップと現場が共通の指標でコミュニケーションを活性

導入にあたり、組織構成の見直しと、再編成を行った。そして採算表の導入。採算は、収入から経費を差し引き、その数字を時間で割る"時間当り"というアメーバ経営独自の考え方。営業日数や業態・業務の違いなどで評価が左右されない仕組みで、採算表の項目もシンプル。すべての職員が"家計簿"のような感覚で取り組める。
「"時間当り"という経営層と現場の共通の指標ができたことで、コミュニケーションが変わると同時に、経営の透明化が図れました。さらに、自分の仕事の成果だけではなく、努力や創意工夫がそのまま、数字に反映されるので、職員一人ひとりのモチベーションも向上しました。そして、アメーバ経営の導入前は、活気がなく、誰も責任を持たない、トップの独断場となりがちだった経営会議も、現場から採算表や重点項目の説明を行い、それに対しトップや経営管理部門が質疑やアドバイスを行う、活気に溢れ、参加者全員のベクトルが合ったコミュニケーションの場へと変化しました」(担当者)

アメーバ経営導入後の経営会議は参加者全員のコミュニケーションの場

アメーバ経営の導入により、結果に対する組織の団結力、リーダーの責任感が生み出され、すべての職員が経営者的視点を持ち、経営に参加する、"全員参加型経営"を実現した福祥福祉会。既存の管理方法や経営層の考え方に対する反骨心がトップの意識を変え、批判的な声に負けない心が現場を変えた。
「私たちのアメーバ経営はまだ始まったばかり。改善の余地はまだまだあると考えています」(担当者)
創意工夫を行いながら全員参加の経営を続ける福祥福祉会。厳しい福祉経営環境を乗り越え、多様化する社会のニーズに柔軟に応えながら、さらなる発展と成長を遂げていくことだろう。

2010年10月06日

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