山口ケーブルビジョン株式会社ケーブルテレビ応急復旧・強靭化無線システム

災害時に住民が必要な緊急情報の配信を途絶えさせない ケーブルテレビ応急復旧体制を無線システムで整備

(左から)山口ケーブルビジョン株式会社 技術局長 倉田 昌彦氏 / 山口ケーブルビジョン株式会社 代表取締役専務 木村 忠康氏 / 京セラコミュニケーションシステム株式会社 新規開発営業本部 ワイヤレス営業部 副部長 村上 彰利

自然災害時にもいかに安定した放送サービスを提供するかは、ケーブルテレビ放送事業者共通の課題だろう。山口ケーブルビジョン株式会社(山口ケーブルビジョン)は、2013年7月末の記録的な大雨による土砂災害によりサービス提供エリアの一部で光ケーブルが断線した。こうした経験から災害時の早期復旧のための取り組みを推進。その一環として京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)が開発・提供しているケーブルテレビ応急復旧・強靭化無線システム「ワイヤレスリンク23G」(可搬型)を導入。災害時の重要な情報伝達手段である地上デジタル放送やコミュニティチャンネルを通じ、地域のケーブルテレビ加入者に迅速かつ正確な情報提供ができる体制を整えている。

1.地域住民の安全・安心な暮らしを守るケーブルテレビ放送

山口ケーブルビジョンは1993年に山口市と旧小郡町でケーブルテレビ放送を開始して以来、事業エリアを拡大。現在は山口市、防府市、宇部市、美祢市でサービスを提供する。「山口市は山に囲まれた盆地で、テレビの電波が届きにくい地域もあります。そのため、ケーブルテレビの契約者は多く、当社は中国・四国地域で有数のケーブルテレビ局として地域の方々に番組や情報を届けてきました」と山口ケーブルビジョン 代表取締役専務の木村 忠康氏は述べる。

山口ケーブルビジョン株式会社 代表取締役専務 木村 忠康氏

自主制作番組(コミュニティチャンネル)では、自治体からのお知らせやニュース、暮らしに役立つ話題など地域に密着した情報や、発令中の気象に関する警報・注意報、地震などの緊急情報を表示する。これまでも集中豪雨などの際に、コミュニティチャンネルを通じて緊急情報が提供されているほか、地上波の各放送局の気象情報や緊急情報を放送するなど、テレビは地域住民の安全・安心な暮らしを守る重要な役割を担ってきた。

2.災害時の応急復旧体制の整備が経営課題に

山口ケーブルビジョンは本社のある山口市をはじめ、4カ所にセンター局、7カ所にサブセンター局を構える。センター局間の幹線伝送路およびセンター局とサブセンター局間を結ぶ連絡線に使用される光ケーブルの総延長距離は約1,900kmに達するという。これまでサービスエリアの拡大とともに、災害時にセンター局が孤立しないよう幹線伝送路の光ケーブルの二重化に取り組んできた経緯がある。

だが、2013年7月末、山口県と島根県を襲った記録的な大雨は県内各地に大きな被害を与えた。例えば、山口市阿東地区は集中豪雨による土砂崩れが発生。「光ケーブルを敷設した電柱が倒れ、ケーブルが断線してしまいました。復旧までの数日間、阿東地区のケーブルテレビ契約者は市の緊急情報や気象情報などを入手できず、災害対策の重要性を再認識しました」と山口ケーブルビジョン 技術局長の倉田 昌彦氏は振り返る。
このほかにも、十数年前に大型台風で電柱が倒れ、数カ所で光ケーブルが断線。仮復旧まで1週間以上の時間と億単位のコストを費やしたこともある。こうした経験から「地域の契約者に安定したケーブルテレビ放送を提供するため、応急復旧の手段を整備することが経営課題になっていました」と木村氏は述べる。

山口ケーブルビジョン株式会社 技術局長 倉田 昌彦氏

そして、2012年度の総務省補正予算を利用して車載型ヘッドエンド設備(移動局)を導入。災害で光ケーブルが断線した場合、移動局に積み込んだ光ケーブルを使って光クロージャーを接続し、応急復旧する仕組みだ。

加えて、光ケーブルを有線で接続せずに応急復旧する仕組みも検討していた。「近年のゲリラ豪雨はどこで災害が発生するか予想がしにくく、どこでも持ち運べる小型・軽量の無線伝送装置に関心がありました」と倉田氏は述べる。そのような中、中国総合通信局主催の展示会でケーブルテレビ用の23GHz帯無線伝送装置を知ったという。

3.小型・軽量などの特長を備えたワイヤレスリンク23Gを導入

23GHz帯無線伝送装置は、KCCSが総務省の情報通信ネットワークの耐災害性強化のための研究開発である「災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム(幹線応急復旧用無線伝送装置)の研究開発」を受託して開発したもので、災害で断線したケーブルテレビ伝送路を無線でつなぎ、迅速に復旧させることができる。実証実験を経て、ケーブルテレビ放送事業者や自治体向けに商用化、「ワイヤレスリンク23G」の名称で提供している。

ワイヤレスリンク23Gは、ケーブルテレビ放送事業者に割り当てられている23GHz帯の周波数を使用し、可搬型では最大39チャンネル、固定型では最大62チャンネルのデジタル放送信号の無線伝送が行える。3km程度まで伝送が行え、システムの小型・軽量化により、どこにでも持ち運びができ迅速な復旧ができる。

このほかにも、「ワイヤレスリンク23Gは緊急災害時の早期復旧を支援するさまざまな特長を備えています。例えば、山間部などの災害発生場所では電気を使用することが困難なため、発電機などを想定したAC100Vと車載バッテリーを想定したDC12Vの2種類の電源供給に対応していることも特長の1つです」と、KCCS 新規開発営業本部 ワイヤレス営業部 副部長の村上 彰利は説明する。また光ケーブルと同軸ケーブルの2種類のインターフェイスに対応し、利便性と汎用性が向上。加えて、光ケーブルを簡単に接続できる防水対応の成端接続箱を用意していることや、レベルインジケータ(LED)を確認しながら、対向のパラボラアンテナとの無線リンクの方向調整が可能なため、屋外での応急復旧作業を効率的に行える。

新規開発営業本部 ワイヤレス営業部 副部長 村上 彰利

山口ケーブルビジョンでは、KCCSからワイヤレスリンク23Gの説明を受け導入を決定。「このシステムは総務省の補正予算事業で研究開発されており、性能面でも安心できます。また、応急復旧を支援する豊富な機能のうち災害現場への持ち運びのしやすさや、2種類の電源供給を評価しました」と倉田氏は述べる。

移動局に搭載されている「ワイヤレスリンク23G」

4.無線局免許を取得し迅速に応急復旧できる体制を実現

ワイヤレスリンク23Gの導入にあたっては、無線局免許が必要になる。加えて、山口ケーブルビジョンのサービスエリア内には山口大学の電波天文台があり、そこで使用される周波数帯と干渉する可能性もあるため、「無線局の免許申請とともに、山口大学電波天文台との調整が必要でした」と倉田氏は述べる。無線局免許を取得し、ワイヤレスリンク23Gを導入した2015年2月以降、幸いにも災害で使用したことはないが、災害を想定した運用テストを5月に実施し無事稼働を確認している。

ワイヤレスリンク23G(可搬型)の利用イメージ

山口ケーブルビジョンではワイヤレスリンク23Gを1対向導入したが、災害時には光ケーブルの断線が1箇所とは限らず、複数箇所で発生するリスクもある。そこで、倉田氏は「無線局免許取得などの課題を解決する必要があるものの」と前置きしつつ、「日本ケーブルテレビ連盟などの第三者組織が主導するなどして、無線伝送装置を導入している事業者が被災したケーブルテレビ放送事業者に貸し出すような仕組みを検討してはどうでしょうか」と提言する。

災害時の重要な情報伝達手段となるケーブルテレビ放送。今後も、地震や台風、集中豪雨などの自然災害が避けられない中、ケーブルテレビ放送事業者は契約者に安定的なサービスを提供するためにも災害対策が急務になる。KCCSでは、引き続き山口ケーブルビジョンの要望に応じたサポートを行うとともに、ケーブルテレビ放送事業者の課題を解決するソリューションを提案していく。

取材時期:2015年4月
掲載日:2015年6月9日

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