北海道厚岸郡厚岸町ケーブルテレビ応急復旧・強靭化無線システム

自治体のBCP強化を支援 ケーブルテレビ応急復旧・強靭化無線システムによりテレビ放送再送信用のネットワークを多重化

(右から)東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 釧路法人営業担当 営業担当課長代理 原 靖氏 / 東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 ソリューション営業第一部門 主査 菊地 芳昭氏 / 東日本電信電話株式会社 釧路支店 営業部長 前川 英治氏 / 厚岸町 総務課長補佐(兼)広報情報係長 田崎 清克氏 / 厚岸町 総務課 広報情報係 主事
高江洲 真氏 / 京セラコミュニケーションシステム株式会社 エンジニアリング営業本部 ワイヤレス営業部 部長 菅佐原 幸夫

災害時に地域住民に情報を伝える通信や放送インフラ。太平洋に面し市街地が厚岸湖を挟んで南北に分かれている北海道厚岸郡厚岸町(あっけしぐんあっけしちょう、以下厚岸町)は、東日本大震災を契機にBCP(事業継続計画)強化を目的として、厚岸大橋に敷設した光ファイバの多重化を検討し無線システムを導入、テレビ放送再送信用のネットワークを多重化した。無線システムにはKCCSのケーブルテレビ応急復旧・強靭化無線システム「ワイヤレスリンク23G」を採用し、災害などで万一光ファイバが切断した場合でも、テレビ放送を通じて町民に必要な情報を伝えることのできる環境を整備している。

1.東日本大震災の経験から情報提供体制の不十分さを痛感

地震や津波など自然災害が多く発生する中で、住民に情報を伝える通信・放送インフラの重要性はかつてなく高まっている。北海道東南部に位置する厚岸町は、日本で唯一通年出荷をしている牡蠣を軸とした漁業と根釧台地での酪農を中心とした農業が盛んな自治体だ。同町の市街地はラムサール条約に登録された別寒辺牛湿原から流れ出す川と海によって作られた厚岸湖を挟んで、江戸時代からの歴史がある湖南地区と、大正時代の鉄道開通後に拓けた湖北地区の2地区に分かれ、その間は厚岸大橋で結ばれている。

厚岸町の町並み

厚岸町では以前から防災行政に力を注ぎ、防災行政無線は各家庭にも戸別受信機を取り付けている。さらに、2011年には情報通信格差の是正や地上デジタルテレビ放送の難視聴解消などを目的に、町内全域に光ファイバを敷設。光ファイバは、湖南地区と湖北地区を結ぶ海上橋である厚岸大橋にも敷設されている。これにより、高速インターネット通信やテレビ放送を提供するとともに、住民への防災情報を提供するIP告知システムの整備を行った。

こうして、厚岸町では有線による町民へのさまざまな防災・災害情報提供体制を整えていたが、その不十分さを思い知らされたのが2011年の東日本大震災だった。
「2.7メートルの津波が押し寄せ、町役場周辺や市街地は浸水し、その時湖南にいた私は厚岸大橋の地上接続道路が冠水したことで、湖北に戻れなくなってしまいました」と厚岸町 総務課長補佐 (兼) 広報情報係長 田崎 清克氏は語る。

厚岸町 総務課長補佐 兼 広報情報係長 田崎 清克氏

2.無線によるテレビ放送ネットワークの多重化を決定

その経験から、厚岸町では地震や津波で厚岸大橋に被害があった場合、光ファイバが寸断されて通信ができなくなる可能性があると判断。その際、無線ネットワークが大きな力を発揮すると考え、整備に取り組み始めた。「当時、大津波警報が出ていましたが、町内の状況はよく分かりませんでした。しかし、テレビでは震災の被害を報道しており、避難している町民も状況を知ることができました。そのことから、災害時の情報入手には、テレビ放送が非常に重要であると痛感しました」(田崎氏)。

そこで厚岸町では、災害時でもテレビ放送を視聴できるよう無線ネットワークによる多重化を行うことにした。無線システムの導入にあたって厚岸町が最も重視したのは、常時通信状態で災害が起こった際に有線(光ファイバ)から無線システムへ自動的に切り替わり、町民がテレビから確実に必要な情報を入手できる環境を整備することだった。厚岸町役場は岸壁から数十メートルで海抜1mの場所にあるため、津波警報発生時には職員は全員避難所に避難することになっている。そのため、有線から無線システムへの自動切り替えは必須の機能であった。

3.複数チャンネルの伝送が可能なKCCSの「ワイヤレスリンク23G」を採用

厚岸町の要請を受けて、無線システムの整備を担当したNTT東日本ではシステムの検討に入った。そしてテレビ放送が伝送できる無線装置を探した結果、KCCSのケーブルテレビ応急復旧・強靭化無線システム「ワイヤレスリンク23G」を導入することに決めた。「テレビ放送の映像や音声データを変換せずにそのまま伝送できる機器は極めて限られます。ワイヤレスリンク23Gはテレビ放送の再送信もでき、総務省の委託を受けて開発された国産メーカーの製品なので信頼性が高く、災害時にも確実に動作すると判断しました」と、東日本電信電話株式会社(NTT東日本) 釧路支店 営業部長 前川 英治氏は話す。

東日本電信電話株式会社 釧路支店 営業部長 前川 英治氏

ワイヤレスリンク23Gは、KCCSが総務省の情報通信ネットワークにおける耐災害性強化のための研究開発である「災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム(幹線応急復旧用無線伝送装置)の研究開発」を受託し研究開発したもので、ケーブルテレビの幹線伝送路設備の応急復旧が目的だ。
「特長はケーブルテレビ事業者に割り当てられている23GHz帯の周波数を使って、可搬型では最大39チャンネル、固定型では62チャンネルのテレビ放送を無線伝送できることです。伝送可能な距離は可搬型で約3km、固定型では6km程度です。可搬型として開発しましたが、今回は有無線での多重化のため固定型として活用されることになりました」とKCCS エンジニアリング営業本部 ワイヤレス営業部 部長 菅佐原 幸夫は語る。

エンジニアリング営業本部 ワイヤレス営業部 部長 菅佐原 幸夫

ケーブルテレビ応急復旧・強靭化無線システム「ワイヤレスリンク23G」

4.災害時に必要な情報を伝えることのできる環境を整備

導入工事の中で、最も苦心したのが有線から無線への自動切り替え部分だ。「テレビのバックアップルートの整備は前例がなく苦労しましたが、最終的に光ファイバの信号が受信側でしきい値を下回ったら、自動検知して無線に切り替わるようにすることができました」と日本電信電話株式会社(NTT東日本) ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 ソリューション営業第一部門 主査 菊地 芳昭氏は語る。

2014年2月、町役場屋上と湖南地区の厚岸町多機能共生型地域交流センターとを結んだ無線システムの運用がスタートした。運用にあたって、厚岸町では切り替えテストを何度も実施し、テレビを見ている町民が有線から無線への切り替えを意識することなく視聴でき、災害時に必要な情報を伝えることのできる要件を満たした無線システムが実現した。

東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 ソリューション営業第一部門 主査 菊地 芳昭氏

「厚岸町様のネットワーク整備は非常に先進的で学ぶ点が多くあります。今後もお客様の期待に応えられるような積極的な提案を行っていきたいと考えています」と東日本電信電話株式会社(NTT東日本) ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 釧路法人営業担当 営業担当課長代理 原 靖氏は語る。
またKCCSの菅佐原は「今後も厚岸町様やNTT東日本様と連携を図りながら、BCP強化の支援をしていきたいと考えています。また無線技術のノウハウを活かして、地方自治体やケーブルテレビ事業者の課題解決に貢献できるよう取り組んでいきます」と話す。

厚岸町では、今後さまざまな帯域の無線システムを活用して、町民への情報提供体制をさらに整備し、災害に強い町づくりを進めていく計画だ。

東日本電信電話株式会社 ビジネス&オフィス営業推進本部 北海道法人営業部 釧路法人営業担当 営業担当課長代理 原 靖氏

「ワイヤレスリンク23G」(固定型)導入イメージ

取材時期:2014年8月
掲載日:2014年9月30日

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