2015年09月25日

京セラコミュニケーションシステム株式会社
瀬山 暁夫

「経営は難しい」「部門経営は一筋縄ではいかない」皆様、一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。ミッション、戦略、モチベーション管理、人材育成などなど・・・。経営のテーマは幅広く、どこから手をつければよいのかさえ悩ましいものです。

書店には毎日のように新刊経営書が並び、MBAなどの講座も根強い人気があります。実際にそれらの多くは有益であり、確かな知見を得ることができます。しかし一方で、それだけでは十分ではない、何かが足りないとも感じてしまいます。経営の実務に理論を適用し、本当に実践するためには、何が必要なのでしょうか。

去る9月15・16日、京セラ名誉会長 稲盛和夫が主宰する「盛和塾」の世界大会が開催されました。日本全国、海外から、実に4,573名の経営者、経営幹部が参加されました(私は弊社の教材の販売スタッフとして参加させていただきました)。2日間にわたって8名の塾生の方々から経営体験発表がなされ、最後に稲盛塾長の講話がありました。講話のタイトルは「盛和塾でいかに学ぶか―フィロソフィを血肉化する―」です。稲盛塾長から経営を極める3つのステップが示されました。

  • 第1のステップ:余計なことは考えず、ただ必死に一生懸命働
  • 第2のステップ:社員を説得し、惚れさせる言葉を学ぶ
  • 第3のステップ:損益計算書を使いこなし、フィロソフィを数字に落とし込む

まず自らが努力する。次に従業員を引き付ける言葉を学び、フィロソフィや事業の目的、目標を共有する。そして最後に、全員で計数管理(つまりアメーバ経営)に取り組み、フィロソフィを数字に落とし込む、というストーリーです。さらに稲盛塾長は、「どのステップにあろうとも、共通して求められることは、社員とともに愚直に真面目に、繰り返し、繰り返しフィロソフィを学び続ける姿勢です」と強調されました。

稲盛塾長の経営は、アメーバ経営をはじめ、極めて論理的に構築されています。そして、同時に人間の感情、心理、あるいは思想といったものを重んじる人間らしさにあふれています。論理と人間性を併せもち、その両方を正常に機能させるところが"実践哲学"としての真骨頂であり、ここに多くの経営者、リーダーの方々が共感されるのではないでしょうか。

今回のご講話も、京セラ、KDDI、JALを導いた経営のエッセンスが端的に言い表された、素晴らしいものでした。

リーダーがどのように経営を学ぶのか、どのような姿勢で学ぶのか、そこで企業の成長が決まっていくように思います。

世界大会では、4千数百名の人たちが、2日間熱心に話に聞き入っておられました。私語、途中退席はほとんどなく、休憩時間はこぞって教材を求められ、販売ブースは大盛況でした。当社のブースでも、稲盛塾長の経営講話CD、各種書籍が次々と完売になりました。ご自身が学ぶと同時に、幹部社員とともに学びたいとの声を多くお聞きしました。

ひたむきに、信じるものを徹底して学ぶ。1冊の本、1枚のCDから繰り返し学ぶ。そして社員と共有する。それが学びを実践に結び付ける秘訣なのかもしれません。

皆様におかれましても、ぜひ「これは」と思える最高の教材を見いだし、自ら学び、部下と共有し、組織の全員で実践を目指していただければと思います。

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