2015年06月22日

京セラコミュニケーションシステム株式会社
清水 宏治

今年の大河ドラマ「花燃ゆ」。毎週日曜日の放映を家族そろって楽しみにしています。もっぱら、私の14歳になる娘は、「文」の旦那さまの久坂玄瑞(東出昌大さん)の活躍に興味津々のようですが・・・。娘の興味はさて置き、後の吉田松陰が松下村塾を立ち上げ、その門下生に対して松陰が指導する場面に刺激を受ける方も多いのではと思います。

以前の放映で「江戸に行きたい」という門下生に対して、「あなたの志はなんですか」と吉田松陰は問います。また一方で、「河豚を食べるか、食べないか?」とも問いました。この二つの問いは、一見レベルの異なるものですが、双方とも、「志」があるかを問うていました。「江戸に行きたいかどうか」は、志を問われる重要事項であることがすぐにわかります。しかし「河豚を食べるかどうか」、その問いに「志」を問われていることをすぐには理解できませんでした。

吉田寅次郎(松陰)は、美味しそうなフグちりを前に、「私は食べません」と応えました。その際、後の初代総理大臣「伊藤利助」は、松陰の意図を察知し「志」を問われていることを理解します。つまり、「自分の「志」の果てに死ぬのが本望であり、それ以外の欲望で足をすくわれるわけにはいかない」、その松陰の意図を察したのです。

私が松陰の指導に魅了されるのは、アメーバ経営は、まさにリーダーに「志」を問うものではないかと感じるからだと思います。たとえば、評価制度において、上位の責任者には「志」を組織に打ち込めるかが問われている内容となっています。つまり、「組織の志」をメンバーとともに実現できる人物の要件を明らかにし、それを実践できているかを評価の基準としています。紙面の都合上、ここで詳細に触れることができませんが、アメーバ経営には、人事制度も含めて「志を問うリーダーを育成する」仕組みと運用があり、それが素晴らしい企業文化を形成する一端を担っているのだと考えます。

吉田松陰が生きていた時代と違い、高い志を持たなくとも、ある程度「食うに困らない生活」が営める現代こそ、「志」を問うリーダーが生まれる風土があるかどうかが、企業の発展を左右することになるかもしれない、そう感じた次第です。

掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。