顧客が求めるクラウドサービスは自ら創る!開発のプロと運用のプロによるクラウドサービスの新たな価値創造

2013年09月26日

京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)では、1999年からデータセンター事業を展開。ファシリティーだけでなく、データセンター事業で培った運用ノウハウを活かしたクラウド型統合運用管理サービス「GreenOffice Unified Cloud」を提供している。そしてそのクラウド基盤ソフトウェアに株式会社あくしゅ(あくしゅ)の「Wakame-vdc」を採用。KCCSとあくしゅは、GreenOffice Unified CloudとWakame-vdcの連携で、クラウドサービスの新たな価値創造を目指している。

1. データセンター事業で培ったノウハウをクラウドサービスで提供

ビジネス環境が短期間で劇的に変化する現在、市場競争を勝ち抜くためには、IT市場の変化に迅速かつ柔軟に対応しなければならない。こうした背景から、ITシステムを所有するのではなく、必要なときに、必要なだけ利用できるクラウドサービスの利用が当たり前になってきている。

KCCSでは1999年からデータセンター事業を展開し、仮想化やITリソースのオンデマンド提供などをいち早く行ってきた。さらに2013年5月からは、データセンター事業で培った運用ノウハウを生かした新たなクラウド型統合運用管理サービスとしてGreenOffice Unified Cloudの提供を開始した。そして、そのクラウド基盤ソフトウェアにはオープンソースソフトウェアであるWakame-vdcを採用している。

Wakame-vdcを採用した背景について、KCCS プラットフォーム事業本部 本部長の秋枝 正治は「2年程前KCCSのクラウドサービスのあり方について検討をしていたところ、現場の技術者からの情報でWakame-vdcを知りました。そこから話合いを進めていき、かねてから自分たちの思想にあったクラウドサービスを作っていきたいと思っていたので、柔軟性があるオープンソースのソフトウェアにとても魅力を感じました」と当時を振り返る。

プラットフォーム事業本部 本部長 秋枝 正治

あくしゅ 代表取締役の山崎 泰宏氏は「KCCSと情報交換を行い課題を共有していきました。私たちはソフト開発のプロですが、物理的なデータセンターの運用についてはノウハウがありません。KCCSのデータセンター事業で培った運用ノウハウと、私たちのクラウド基盤ソフトウェアを連携させることは互いにとってシナジーになると考えました」と語る。

株式会社あくしゅ 代表取締役 山崎 泰宏氏

2. 点在するITリソースを1つの手法で統合管理できるGreenOffice Unified Cloud

新サービスの開発を行うにあたって、まずは両社一緒になりお客様の声を取り入れながらコンセプトづくりを始めた。実際にお客様と話す中で、クラウドサービスの利用拡大により新たな問題が発生していることを知ったという。KCCS プラットフォーム事業本部 事業企画部 技術開発部長の長澤 宏起は、「クラウドサービスは、スタートアップ時のサーバ構築や設定変更は容易ですが、複数のクラウドサービスが乱立すると、クラウドサービスやオンプレミス環境を個別に運用管理しなければならず、管理が煩雑になるため、困られている方がいらっしゃいました」と話す。

そこで新サービスではITリソースの提供だけでなく、運用管理を具現化することにポイントを置いた。そしてKCCSのD@TA Centerや他社クラウドサービス、オンプレミス環境など、点在するITリソースを統合管理できる独自開発のクラウド管理コンソール「クラウドマネージャ」を開発。クラウド型の統合運用管理サービスとしてGreenOffice Unified Cloudの提供を開始した。またサーバ・ネットワークに対する運用・監視の自動化や障害発生時のインシデント管理などのサポートも行っている。山崎氏は、「クラウド基盤からの情報を積極的に取り込んで、1つの手法で統合管理できるクラウドマネージャはこれまでにない利便性を備えた、おもしろいアイデアだと思います」と語る。

プラットフォーム事業本部 事業企画部 技術開発部 部長 長澤 宏起

3. データセンターハイパーバイザーがWakame-vdcのコンセプト

クラウド環境で稼働しているサービスを、別のクラウド環境に移行する場合、サービスの再構築が必要になることもクラウドサービスの課題の1つである。山崎氏は「仮想化されたサーバは、WindowsやMacなど好きなOSの上で変更なしに動作させることができます。1台のサーバを仮想化したのと同じように、1つのデータセンターを丸ごと仮想化できれば、そのデータセンター上で動作するサービスを変更することなくデータセンター(A)からデータセンター(B)にコピーできます。"データセンターハイパーバイザー"の実現がWakame-vdcの開発コンセプトです」と話す。またこのようなコンセプトを持ちながらも、まずはこの思いに共感してくれる人と一緒にデータセンターに必要なものを1つずつ作っていくことを大切にしているという。

この発想を受け「これまで直近のことだけを考えてシステムを設計しがちでしたが、Wakame-vdcは、将来を見据えていかにクラウド環境を実現するかという、われわれのやり方にはない発想で、非常に良い刺激を受けました」と長澤は話す。

4. 開発のプロと運用管理のプロがお客様の要望に対応

GreenOffice Unified CloudとWakame-vdcを連携したメリットについて山崎氏は「Wakame-vdcは、サービスを動作させるパーツの1つにすぎません。しかしGreenOffice Unified Cloudとの連携で、パーツ以上の価値を持ちます。サービス全体をきれいに管理できるほか、一部分が崩れても把握できます。また崩れた部分の修復のトレースもできます。われわれはソフトウェア開発のプロですが、運用管理のプロではありません。こうした機能はパーツの提供側だけでは視点が抜け落ちることがあるため、運用管理のプロであるKCCSと協力することで強化することができました」と語る。
長澤は、「商用プロダクトを使うと対処できない制約が出てきますが、Wakame-vdcはオープンソースなので、足りない機能を開発してもらうこともできます。これまでお客様に"できません"と言わなければならなかったことも、すぐには実現できなくても"将来的には可能です"と言えるのは大きな進歩です」とWakame-vdcに大きな期待を寄せている。
また秋枝は「こうした柔軟な取り組みを今後もあくしゅと推進し、お客様にしっかりとメリットを享受していただけるようなサービスにしていきたいと思っています」と抱負を語る。

KCCSとあくしゅは、今後もお客様の要望を上手く取り入れながら、よりよいサービスの提供を目指し連携を図っていく。

なお、KCCSは10月9日~11日に東京ビッグサイトで開催される「Cloud Days Tokyo 2013 Fall」に出展し、GreenOffice Unified Cloudについて紹介する予定だ。

「GreenOffice Unified Cloud」サービスイメージ

「GreenOffice Unified Cloud」サービスイメージ

取材時期: 2013年9月

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