Research & Development データオフロード

KCCS

データオフロードとは

データオフロードとは、限りある無線周波数資源を効率的に利用することで、快適な無線通信を実現する最適化技術です。

スマートフォン・タブレットを使った動画サイトの利用拡大が見込まれる2015年ごろには、全体のモバイルトラフィック量は現在の数十倍に増加し、無線通信を快適に保つ重要性がさらに高まると考えられます。一方では、増加するモバイルトラフィック量を支え続けるために、基地局や無線周波数ライセンスなどのインフラへ膨大な投資をする必要が生じると考えられます。このような投資を抑えるために、限られた無線周波数資源を効率的に利用する技術がデータオフロードです。

KCCSのフォーカス

「モバイルで動画を自由に利用できるインフラを効率的に構築したい」という要求にお応えするため、KCCSは幅広いソリューション開発、提供を行っています。データオフロードにはさまざまな方法がありますが、KCCSは特に、以下の分野に注力して技術開発を行っています。

分野 技術開発
端末制御 シグナリング削減、無線LAN最適化、位置推定
ネットワーク制御、階層化 ANDSF、シームレス、VoIP音声 / 動画変換、ポリシー制御
インフラ分野 ピコセルLTE基地局の開発提供、無線オプティマイズ、無線混雑シミュレーション
トラフィック / 課金管理 PCRF、トラフィックニーズシミュレーション

KCCSは、端末メーカと通信事業者の中間という立場で、無線インフラから、端末機能、課金計算などのIT分野まで、幅広いソリューションを提供しています。レイヤを融合させた技術開発がKCCSの強みです。このページでは、シームレスとポリシー制御をご紹介します。

シームレス技術

階層化ネットワークの弱点は、モビリティの低下です。例えば、電車に乗りながら無線LANを使うと、すぐに通信が途切れてしまい実用的ではありません。KCCSは、PHS、EVDO、WiMAX、LTE、無線LANをさまざまに組み合わせて欠点を補う技術を2002年から継続して開発してきました。重要なポイントはユーザに通信の途切れを意識させないことです。KCCSでは、この技術をシームレス技術と呼んでいます。

シームレス技術の高度化

動画シームレス

動画の視聴は、膨大なモバイルトラフィック量を必要とします。さらに、階層化ネットワークに従い、小セル(無線LANなど)に切り替えた際に通信が切断されると、最初から再生をし直すことになります。KCCSでは、そのような通信の切断を回避し、利用可能な周波数帯域を予測、動画のレートを変換することで、スムースな切り替えを行っています。

VoIPシームレス

通話は、一般的に素早い切り替えが求められる用途です。小セルや新しい基地局に切り替えれば安価に高品質な通話ができます。しかし、遅延時間の異なる無線を組み合わせると、音が途切れたり長い遅延が発生したりします。話速変換によりバッファを動的に最適化すると、遅延の少ないスムースな会話が可能になります。

  • KCCSでは、上記全てのシームレス技術を盛り込んだVoWiMAX、VoLTEの技術を開発し、フィールド試験を実施しました。アンケート調査の結果、通話に違和感のない遅延と、高い音声品質が得られています。音声MOS(主観)評価は、CDMAの通常音質(EVRC)3.83を大幅に上回る、4.58~3.88です(WiMAXとEVDOのVoIPシームレス車両走行時)。これはPHSのMOS4.63に迫る優れた音質です。
  • 音質表
  • 図:音声データの到着時刻のバラツキ
      遅延時間は最大800msに達するが
      話速変換により高MOS低遅延を実現

ポリシー制御技術

データオフロードでは、端末の場所と時刻によって適した通信手段を選ぶ制御を行います。「場所」「時刻」「適した通信手段」の関係をポリシーと呼ばれるルールとして記述します。ポリシーには、モバイルトラフィックの負荷から見た考え方(全体最適化)と、端末から見た考え方(部分最適化)の2通りの考え方があります。データオフロードの目的を考えると、モバイルトラフィックの負荷が最小になるように制御した方が良いように考えられますが、ユーザの状況によっては、ポリシーをそのまま適用しても有効に機能しません。これが、ユーザの不快感につながることがあります。

ポリシー制御技術

KCCSでは、この問題を解決するために2つのファクターをポリシーに付加しています。

  • 端末情報の収集(電池残量、通信希望量、移動速度)
  • 段階的オフロード

これらの情報から、周囲の人々に比べて「バッテリーが残っている」「たくさん通信したい」「立ち止まっている」というユーザには積極的にオフロードをしてもらいます。逆に、バッテリー残量が少ないユーザには、無線LANに切り替えず通信を継続してもらいます。これにより、全体としてユーザの満足度を高めるポリシーを作ることができます。また、効果を高めるため、半分無線LANで通信する、ゆっくり3Gで通信するといった中間的な制御を可能にしました。 On/Offを切り替えるだけではなく、通信ピークを制御したり遅延させたりするプロトコル変換技術を使い、段階的オフロードを実現しています。

リアルタイムオフロードコントロールシステム

システム構成例