![]()

『病気の治療に寄与する医薬品事業』と『日々の健康をサポートする消費者商品事業』をビジネスの柱に、革新的で創造性に富んだ製品の研究開発、製造、販売を行う大塚製薬株式会社。グローバルなビジネス展開を支える、社外から社内システムへのリモートアクセス環境の再構築と運用業務のアウトソーシング
を決断し、パートナーとして京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下 KCCS)を選択した。情報化の考え方や再構築決断の背景、導入効果、今後の展望について、大塚製薬株式会社 IT推進室4名にお話をうかがった。

大塚製薬株式会社
IT推進室 課長
周防 勝彦氏
大塚製薬株式会社は、1964年に設立し『Otsuka-people creating new products for better health worldwide』を企業理念とし、世界の人々の健康に貢献することを目標に、グローバルに事業活動を展開している。
海外拠点を含め、医薬分野においてはMRなど社外でビジネス活動を進める社員が多いことから、社内のITリソースを利用するリモートアクセス環境は、同社の事業成長には必要不可欠となっている。
さらに「女性MRを含めた人材の多様性を尊重し、個々の能力を活かせるワークスタイルに対するニーズに応えること。また、パンデミック発生時に、遠隔地からでも事業を継続できること。IT推進室として、このようなニーズを満足させていく上で、リモートアクセスは重要な鍵となっています」。このように述べるのは、同社プロジェクトのマネージャであった周防 勝彦氏だ。
また、同社では、最新の治療法の普及に寄与するため、専門医を招いた講演会を開催しているが、多忙なドクターが勤務先からでもリアルタイムに参加できるよう、動画配信技術を利用したWeb講演会を実施している。ここでもリモートアクセスが大活躍している。

大塚製薬株式会社
IT推進室 課長
加藤 毅氏
IT推進室はアクセス手段の多様化、ユーザビリティおよびユーザサポートの品質向上、コストの最適化、セキュリティ対策の強化など、ユーザであるグループ社員にとって常にベストな環境を追求している。
「日々進化するITのメリットを柔軟に活用できるよう、インフラ整備の一環として、10数年利用してきたリモートアクセス環境の再構築を決断しました」と、周防氏は述べる。
従来のリモートアクセス環境は、現在となっては通信速度も遅く、ユーザにとってストレスの原因になっていた。また、インターネットVPNなどより高速な環境も用意されていたが、接続方法が複雑でなかなか活用が進まなかった。
一方、運用に関しては、「IT推進室とサービスを提供するベンダで分担して行っていたが、ユーザからのリモートアクセスの申請受け付けから、ID/パスワードの発行、カード発送、ヘルプデスクといった一連の業務の分担が分散していたため、どうしても時間がかかり、スピーディな営業展開に影響を及ぼしていました。また、業務の分散により、リモートアクセストータルでの改善も進めにくい状況になっていました」と、運用プロジェクトを担当する加藤 毅氏は語る。
こうした背景から、新たなソリューションの選定にあたってはシステムの提案もさることながら、導入後もサービス品質向上のために回すPDCAサイクルを踏まえた運用を同社と一緒に考えてくれるパートナー企業を求めていた。
「提案段階から使命感あふれる姿勢で取り組んでくれたKCCSには安心感がありました。またKCCSが、数ある課題に対してすでに実績のあるソリューションメニューを持っていた点は、他社と比べて大きな違いでした」(周防氏)。

大塚製薬株式会社
IT推進室 グローバルIT(兼)
インフラ担当
二宮 英樹氏
リモートアクセス環境の再構築にあたり、KCCSはマルチキャリアMVNOとしての強みを活かし、主要通信キャリアのデータ通信カードや公衆無線LAN、海外からも同一アカウント/パスワードで現地アクセスポイントに接続できるローミング環境を利用可能にした。また、セキュリティ確保のためのVPNゲートウェイも2種類(IPSec VPNとSSL VPN)を用意することで、より多くのネットワーク環境からのアクセシビリティを向上させた。同時にリモートアクセス端末認証・検疫サービス「CAREN(カレン)」
を導入することで、セキュリティポリシーを満たさないPCは、社内ネットワークに接続できないようにした。これらにより、どこからでも接続できる利便性と、許可されたPCのみが接続できるセキュリティの両立を実現した。
また、ネットワーク接続のツールとしても、統合認証ソリューション「NET BUREAU(ネットビューロ)」
を活用し、ユーザはアクセス回線やVPNの種類を意識することなく、簡単操作で、必要な情報リソースにセキュアにアクセスできる。また、認証に使用するID/パスワードも、日常業務ですでに使用しているID/パスワードと統合しており、ユーザのパスワード管理を容易にしている。
「NET BUREAUを使えば、ボタンひとつで通信速度などの環境に応じて適切な経路を自動選択し、接続できます。煩わしい操作がないので、ユーザもストレスを感じず業務に集中できます。機能面でみると、成熟したツールであるにもかかわらず、最新の接続メニューやボタンを後から追加できる、柔軟でカスタマイズ性に優れている点を評価しています」と、グループ会社渉外を担当した二宮 英樹氏は述べる。
ユーザへのリモートアクセス環境の提供にあたってはデータ通信カードの手配や発送といった新規利用に関する申請・発行対応から、故障対応、使用終了したカードの回収、在庫管理、アカウント管理、通信費の利用部署への賦課、ユーザサポートまで、幅広い運用業務が存在している。
KCCSでは、従来はIT推進室を中心に、ベンダ、社内ヘルプデスクで分担して行っていたこれら運用業務を一括して引き受けるサービスデスクの導入を提案した。大塚製薬のヘルプデスクの対応時間外は、KCCSのサービスデスクでサポートを行うなど、より多くのユーザからの問い合わせに対応できるようにした。
「ユーザ企業のIT部門として、節減されたコストや時間を営業、研究、開発、生産といった各業務の支援、全社インフラの強化と新技術の積極的取り込みなど“攻め”のインフラ整備にリソースを重点配分していきたいと考えています」(加藤氏)。

大塚製薬株式会社
IT推進室 課長
近藤 誠氏
2010年6月の本格利用開始に向けて、KCCSでは2009年10月以降システムの構築、既存環境からの切り替え、トライアルを段階的に行った。
社内各部門、各グループ会社のIT担当者にトライアルの協力を仰いだが、予想以上のIT環境の違いや、セキュリティ面の配慮などの苦労があったと、構築プロジェクトリーダーであった近藤 誠氏は振り返る。
「3カ月という短期間での導入を実現するため、KCCSの技術者にかなりの負担がかかったと思います。しかし、通信カードの配布や回収に加えて、当初想定していなかったグループ会社でのインフラの違いなど発生した課題に対するこちらからの要求にも決して妥協せず、一緒に解決していってくれたことで無事スケジュールどおり、本番利用開始を迎えることができました」(近藤氏)。
同社では2010年6月時点で社内およびグループのユーザ約5,000名がリモートアクセス環境を利用している。「ユーザの反応は良好で、特にNET BUREAUのユーザビリティの高さに満足する声がIT推進室に届いています。また、従来1週間以上費やすこともあった申請から利用開始までの期間を大幅に短縮することができ、事業のスピードにタイムリーに対応できるようになりました」(二宮氏)。
アクセス手段が多様化したことで、業務の効率化が図られるとともに、ドクターに対する情報提供などの機会創造にも寄与している。
IT推進室では、今後さらにユーザからのリモートアクセスに関する申請・利用停止手順の改善、最適な利用メニューを選択できるような申請画面、データ通信カードなど機器類の在庫コスト低減などの検討を重ねていく考えだ。
「リモートアクセス環境の提供、運用に関する業務プロセスでは、まだ改善の余地があると考えています」と周防氏。業務プロセスを属人化させず、業務のノウハウを可視化することで、業務の引き継ぎや社外へのアウトソースをよりスムーズに行えるようにする方針だ。
よりいっそうの運用業務から企画業務へ向けたリソースのシフトおよび、運用コストの削減を掲げるIT推進室からの期待に、パートナーとしてKCCSは一心同体となって応えていきたいと考えている。
![]()
*取材時期 2010年5月